電気自動車の考察

 近年、地球温暖化の為(と言われてるようですが)、夏は高温(≻40℃超え)、冬は大雪や寒波、集中豪雨などの異常気象(のニュース)が一昔前に比べて頻発してるようです(世界中で)。気象報道では"100年に一度の~"等と冠詞を付けますが、最早そんな冠詞は説得力の無い空しい言葉に感じます(人々に誤解を与えます、毎年"100年に一度の~"が来るかもしれませんから)。

最近北陸で急な大雪による渋滞・閉じ込め(立ち往生)がありました(数年前にも)。アメリカなどでも異常寒波に見舞われました。
雪の中、車で立ち往生した時、ガソリン車とEV、どちらが有利なのでしょう。

ガソリンの燃焼エネルギーは
 34.6MJ/L (NET検索による)
なので、45リットルタンク(満タン)での車の潜在保有エネルギーは
 45 × 34.6 = 1557 MJ
となります。エンジンの効率は精々30%と言われてますから、元々70%は熱で捨てられているので、
 1557 × 70% = 1090MJ
は熱として利用可能になります(停止中なら運動エネルギー消費がありませんから、更に大きく取れるかもしれません)。

一方EV、バッテリー容量は概ね30~100KWhのようです。
 1KWh = 3.6MJ (NET検索による)
なので、例えば60KWhのバッテリー車の場合
 60 × 3.6 = 216 MJ
です。走行時にはそこから運動エネルギーと暖房(熱)エネルギーを賄う必要があります(暖房を入れての走行時では、圧倒的にガソリン車が有利です)。

ガソリンエンジンでは、停止してても若干の機械損等があり、またエンジンでの発熱エネルギーを全て車内に送れる訳ではないですが、保有エネルギーの差は歴然です。
雪の閉じ込めの様に環境(外気)温度が低い場合、バッテリーは容量低下を来しますから、更に差が大きくなります。

EVの諸元表を見ると、バッテリーの性能については容量以外何も公表されてません。しかし環境温度(高温や低温)による容量低下、経時劣化(特に自己放電による容量低下)、充放電を繰り返した上での容量低下等、バッテリー容量の変化特性(ガソリン車での燃費そのもの)を、一定条件の下で規格としてメーカーが公開・保証してくれないと(メーカーの責任だと思います)、EV購入の検討をする気にはなれません(何せ住宅に次ぐ高額商品ですから)。国交省でこの辺の規定を決めてくれないと困ります(全く考えが及ばないアホか、メーカーの顔色で物申せない弱腰なのか)。

車の保有エネルギーで比べるとガソリン車が圧倒的に優勢で勝負になりません。特に低温時のバッテリー容量低下を考慮すれば、メーカー保証がどうであれ寒冷地(暖房使用比率の高い地域)でのEVの選択は有り得ないと思います。PHEV/HEVに於いても、燃費性能は外気温に依存すると考えられますから、カタログ性能を鵜吞みにしない方がいいでしょう。

エネルギー補給の面で比較してみましょう。
EVは急速充電でも30分程度必要(但し概ね満充電には不十分)です。ガソリンでは満タンまで5分とかからないでしょう。
つまり補給設備(+車の停車スペース)が単純計算でガソリンスタンドの6倍以上は必要です。
しかしEVでは駐車場等に電力課金式充電設備が整備されれば多少は補填となります。但し充電時間の30分(急速でない場合は数時間以上)はどうしようもありません。特に長距離移動の場合、充電毎に30分を見積る必要があります。高速道路のSA/PAで充電待ちの行列になってしまった場合、待ち時間は本線上の渋滞遅延より恐ろしい事になります。


燃料電池式(FCV)なら、補給時間の問題、自己放電によるエネルギー消失等の欠点はないので、個人的には大いに期待して(特にアルコール式は補給設備の問題も無くて)待ち望んでいるわけですが、全然盛り上がりません。
政府トップがこれで行くと方針を打ち出して開発に補助金でも出せば、事態は全く変わって来ると思うのですが、ダメですね。首相の公用車がEVになって、充電待ちで国会に遅刻でもすれば、さすがに気付くでしょう。


環境問題(CO2)では? EVやFCV(水素式)なら走行時(電池使用時)は宣伝的にはクリーンでCO2排出無し、としています。
ただCO2排出を評価するには、その製品製造、使用時(補給エネルギー等を含む)、廃棄までの全行程で考える必要があります。電池の場合は、特に使用時の本体からの排気と補給エネルギーの製造方法による排気が主体となります。EVでは、例えば火力発電の電力で充電するなら相応のCO2排出が出る事になり、宣伝文句も"ⅹ欺"みたいな話です。水素型FCVでも同様に水素製造でそれなりにCO2排出があるはずで、現実的にはどんなエネルギー駆動でもトントンなのでしょう。ただEV、水素式FCVでは、エネルギー製造元(限られた場所)でのCO2排出改善(制御)を検討し易いところが救いです。


全然別の観点ですが、集中豪雨などで道路が冠水し、そこをマフラーすれすれで車が走行するシーンをニュースで見る事があります。
EVでは重心バランスの為、電池を低い位置に均等配置してるようですが、そんな場合に電池が真っ先に水没します。泥混じりでも淡水なら電気的には大丈夫そうですが、家庭での洗濯機給電での漏電ブレーカーのような仕掛けが車にも有れば、異常検出で走行不能になるかもしれません。この辺り、機会があったら、ディーラーの担当にでも聞いてみたいと思います。