まずは実機を・・・
(2014.10.9作成)
真空管を発掘してから、早1年が経ってしまいました。前回までの実験で一区切りついた訳ですが、まだ少し気になることがあり、なかなか実機に至りません。SPの実験をしてからは試作した箱と試験用ICアンプでBGMを聞きながら、あれこれをやっていました。別に音に不満がある訳ではありませんが、折角真空管アンプの夢を見ているのに、そこに真空管アンプの音が無いのは何とも寂しい話です。
それでまずは実機を出来るだけ簡単且つ廉価にと割り切って作ることにしました。簡単にする為には、何と言っても複合管が便利です。そして複合管と言えば6BM8、6GW8でしょう。しかし手持ちがないので探したところ姉妹球が不人気のせいか比較的安価だったので、8B8(XCL82)と14GW8(PCL86)を数本ずつ調達してきました。それで、どちらでも使えるように回路を決めました。
初段は差動、終段は余裕の出力が取れるようにPPです。ソケットとヒーター周りだけを変えて14GW8と8B8を交換可能とします。8B8の場合15VのACアダプターを使うことになりますが、バイアス電圧が不足するので緑囲みの様にカソードバイアスも併用します(部品は最初から組み込んでおきます)。
どちらの球を主体とするのかは、特性を見て判断します。
片チャンネル分を、実機を想定してユニバーサル基板に真空管ソケットとともに取り付けました。電源はPM-30WSを使ってバラックで作っての供給です。
(1)14GW8
OPT-5Pは8Ωの接続により、RL=5Kと10Kを切り替えられます。Ep=270~280V、Ip=32mA前後なので、A1PPなら最適RLは16Kくらいというところでしょうが、5Kと10Kしかありませんので両方の特性を測ってみました。
Ep=Esg=280V、Ik=30mA、Ecg=-9V
(a)RL=5K CL=7.8W、A=32.4dB
(b)RL=10K CL=8.2W、A=34.5dB
RL=5Kの方が歪特性は良好ですが、DFは普通の5極管だけあって、さすがに低いです。最低値がRL=10Kで0.12、RL=5Kではその半分です。両方にNFを中程度にかけて特性をみました。同じRFN=22KΩで測ったので、NFは異なります。
(c)RL=10K+NF13dB CL=8.1W、A=21.6dB
歪率の周波数特性は、7KHz以上で3次高調波が拾えないので省略しました。
(d)RL=5K+NF9dB CL=7.8W、A=23.3dB
どちらも良好でハッキリした優劣はありませんが、歪率の周波数特性からRL=5Kを選択することにします。
(2)8B8
配線を変更して実験。
3結も含めていろいろ測りました。全般にはrpが低い為か、100Hz歪、DFは14GW8より幾分良好でしたが、ゲインが低めです。3結(正規の)ではギリギリ無帰還でも使えそうでしたが、ゲインが低過ぎてNFをかける余裕がありませんでした。プレート損失が小さいので、Ep(=Esg)>250Vの領域はB級動作に近づけるしかなく歪が増加するので使えません。バイアスも深くなりゲインも低下します。
Ep=Esg=245V、Ik=29mA、Ecg=-23V、RL=10K
の特性を一例として示します。ゲインが低めの他は14GW8のRL=5Kと似た特性になりました。
CL=6.5W、A=26.8dB
(3)結論
14GW8のRL=5Kを本命として採用することにして、8B8は14GW8の保険として置いておくことにします。
ただし今回の場合、ヒーター電圧が定格の数%以上低いので球の特性も10%以上低下していると見るべきで、どちらの球も実力が出ていないと思います。さらに8B8(6BM8)については、もっと低電圧(少なくともEsgに関しては)での使用が適しているのでしょう。
(4)製作
14GW8用に配線を戻し、もう1チャンネル分を足して、タカチYM200に詰め込んで漸くステレオの完成となりました。万歳~!!
YM200は上下に分かれていて、夫々につけた部品・回路同志を繋ぐコネクタハーネスが必要で、電流容量の余裕をみて大きめのコネクタを使ったり、ゆとりを持たせた配線長や、ACアダプターなどで、ぎゅうぎゅう詰めになってしまいました。
実機ですから、まずは残留雑音を測ってみました。なんと3~4mV(実験中の10倍くらい)あるではありませんか。箱に詰込み過ぎで何かが干渉したのかと思って、一旦臓物を展開してスタートラインに戻して調べたら何の事はありません、電源トランスとOPTの接近による誘導ハムでした。これが素人の浅はかさと言うべきで、シールド無しでコアむき出しのお安いPTとOPTを近接配置にしてしまいました。狭いシャーシで間隔を空ける余裕が殆どないので、シールド板を挟んで解決できるかと考えて、何となく使えそうな金属板材、金属製品の小物を物色してきてシールド効果を試しました。しかし正規の磁気材料ではなく板厚も足りないようで、期待とは程遠い結果におわり、金物の残骸だけが残りました。YM200をもう1つ買って、上側だけ配置を変えて加工し直そうかとも思いましたが、結局PTを本来の縦置きから横倒しに変えてシャーシの寸法から少しはみ出し位置に取付け、OPTとの距離を稼ぎました。配線の詰込みは結局ハムとは関係ありませんでしたが、コネクタを小型に変えて配線の余裕も切詰めました。これで漸く実験並の0.4mV程になりました。
高圧の端子が上にむき出しなので、少々危険です。調整中に3度感電しました。真空管をいじっていた頃(高校生)以来のショックです。何かカバーを細工した方が安全です。見た目も最初に比べて劣ってしまいましたが、実利優先の実機第1号として納得する事にします。
PTは30VAのトランス(PM-30WS)でいけると踏んで試験していましたが、1チャンネルだけで結構熱くなっていましたので、実機では50VA(PM-50WS)を使うことにしました。12V ACアダプターですが、必要電流は1.2Aそこそこなので1.5A定格で良いかというと、ヒーターの初期点灯時の突入電流で働く保護機能により、いくら待っていても点灯状態にならないという症状になってしまいます。2.0Aクラスを使えばいけるのですが、無駄な定格オーバー品をなるべく使用したくないので、或るメーカー(XIAMEN UME ELE.)の1.5A品を試したところうまく動作したのでそれを採用しました。ただし少々待ち時間はかかります。これから冬になり、室内(管球の初期)温度が低いときにも点灯できるか少し心配です。
B電圧が多少変わった(約290V)ので再調整して特性を測り直しました。使用した全球ともバラ品なのでR/L特性は異なりますが、概ね同じレベルなのでRだけ以下に示します。
CL=10.2W、A=24.6dB
(Lチャンネルは、CL=12.2W、A=24.7dB)
NFをかけて最終的な残留雑音は
R/L(VR MIN&MAX) 0.19mV/0.18mV
クロストークは1Wで、
1KHz 雑音レベルのままで変化なし
100Hz R⇒Lが82dB、L⇒Rが92dB
7KHz R⇒Lが81dB、L⇒Rが95dB
でした。
あとは経時変化を適宜確認して完了です(直結ではないので、あまり変化の心配はないはずです)。
肝心の音は?...、もちろん極めて普通です。気分も上々です。ICアンプより良く聴こえる、親?心でしょうか、まあどちらも自作なのですが。
これで音楽を聴きながら今にして思うのは、昔友人に作ったアンプ、回路はありふれた50BM8(非ペア品)PPで初段とPK分割の直結型だったと思います。どこかの雑誌の例を適当にアレンジしてテスターだけで製作しましたが、どんな性能だったのか過去に戻って確かめたい気分です。
真空管を発掘してから、早1年が経ってしまいました。前回までの実験で一区切りついた訳ですが、まだ少し気になることがあり、なかなか実機に至りません。SPの実験をしてからは試作した箱と試験用ICアンプでBGMを聞きながら、あれこれをやっていました。別に音に不満がある訳ではありませんが、折角真空管アンプの夢を見ているのに、そこに真空管アンプの音が無いのは何とも寂しい話です。
それでまずは実機を出来るだけ簡単且つ廉価にと割り切って作ることにしました。簡単にする為には、何と言っても複合管が便利です。そして複合管と言えば6BM8、6GW8でしょう。しかし手持ちがないので探したところ姉妹球が不人気のせいか比較的安価だったので、8B8(XCL82)と14GW8(PCL86)を数本ずつ調達してきました。それで、どちらでも使えるように回路を決めました。
初段は差動、終段は余裕の出力が取れるようにPPです。ソケットとヒーター周りだけを変えて14GW8と8B8を交換可能とします。8B8の場合15VのACアダプターを使うことになりますが、バイアス電圧が不足するので緑囲みの様にカソードバイアスも併用します(部品は最初から組み込んでおきます)。
どちらの球を主体とするのかは、特性を見て判断します。
片チャンネル分を、実機を想定してユニバーサル基板に真空管ソケットとともに取り付けました。電源はPM-30WSを使ってバラックで作っての供給です。
(1)14GW8
OPT-5Pは8Ωの接続により、RL=5Kと10Kを切り替えられます。Ep=270~280V、Ip=32mA前後なので、A1PPなら最適RLは16Kくらいというところでしょうが、5Kと10Kしかありませんので両方の特性を測ってみました。
Ep=Esg=280V、Ik=30mA、Ecg=-9V
(a)RL=5K CL=7.8W、A=32.4dB
(b)RL=10K CL=8.2W、A=34.5dB
RL=5Kの方が歪特性は良好ですが、DFは普通の5極管だけあって、さすがに低いです。最低値がRL=10Kで0.12、RL=5Kではその半分です。両方にNFを中程度にかけて特性をみました。同じRFN=22KΩで測ったので、NFは異なります。
(c)RL=10K+NF13dB CL=8.1W、A=21.6dB
歪率の周波数特性は、7KHz以上で3次高調波が拾えないので省略しました。
(d)RL=5K+NF9dB CL=7.8W、A=23.3dB
どちらも良好でハッキリした優劣はありませんが、歪率の周波数特性からRL=5Kを選択することにします。
(2)8B8
配線を変更して実験。
3結も含めていろいろ測りました。全般にはrpが低い為か、100Hz歪、DFは14GW8より幾分良好でしたが、ゲインが低めです。3結(正規の)ではギリギリ無帰還でも使えそうでしたが、ゲインが低過ぎてNFをかける余裕がありませんでした。プレート損失が小さいので、Ep(=Esg)>250Vの領域はB級動作に近づけるしかなく歪が増加するので使えません。バイアスも深くなりゲインも低下します。
Ep=Esg=245V、Ik=29mA、Ecg=-23V、RL=10K
の特性を一例として示します。ゲインが低めの他は14GW8のRL=5Kと似た特性になりました。
CL=6.5W、A=26.8dB
(3)結論
14GW8のRL=5Kを本命として採用することにして、8B8は14GW8の保険として置いておくことにします。
ただし今回の場合、ヒーター電圧が定格の数%以上低いので球の特性も10%以上低下していると見るべきで、どちらの球も実力が出ていないと思います。さらに8B8(6BM8)については、もっと低電圧(少なくともEsgに関しては)での使用が適しているのでしょう。
(4)製作
14GW8用に配線を戻し、もう1チャンネル分を足して、タカチYM200に詰め込んで漸くステレオの完成となりました。万歳~!!
YM200は上下に分かれていて、夫々につけた部品・回路同志を繋ぐコネクタハーネスが必要で、電流容量の余裕をみて大きめのコネクタを使ったり、ゆとりを持たせた配線長や、ACアダプターなどで、ぎゅうぎゅう詰めになってしまいました。
実機ですから、まずは残留雑音を測ってみました。なんと3~4mV(実験中の10倍くらい)あるではありませんか。箱に詰込み過ぎで何かが干渉したのかと思って、一旦臓物を展開してスタートラインに戻して調べたら何の事はありません、電源トランスとOPTの接近による誘導ハムでした。これが素人の浅はかさと言うべきで、シールド無しでコアむき出しのお安いPTとOPTを近接配置にしてしまいました。狭いシャーシで間隔を空ける余裕が殆どないので、シールド板を挟んで解決できるかと考えて、何となく使えそうな金属板材、金属製品の小物を物色してきてシールド効果を試しました。しかし正規の磁気材料ではなく板厚も足りないようで、期待とは程遠い結果におわり、金物の残骸だけが残りました。YM200をもう1つ買って、上側だけ配置を変えて加工し直そうかとも思いましたが、結局PTを本来の縦置きから横倒しに変えてシャーシの寸法から少しはみ出し位置に取付け、OPTとの距離を稼ぎました。配線の詰込みは結局ハムとは関係ありませんでしたが、コネクタを小型に変えて配線の余裕も切詰めました。これで漸く実験並の0.4mV程になりました。
高圧の端子が上にむき出しなので、少々危険です。調整中に3度感電しました。真空管をいじっていた頃(高校生)以来のショックです。何かカバーを細工した方が安全です。見た目も最初に比べて劣ってしまいましたが、実利優先の実機第1号として納得する事にします。
PTは30VAのトランス(PM-30WS)でいけると踏んで試験していましたが、1チャンネルだけで結構熱くなっていましたので、実機では50VA(PM-50WS)を使うことにしました。12V ACアダプターですが、必要電流は1.2Aそこそこなので1.5A定格で良いかというと、ヒーターの初期点灯時の突入電流で働く保護機能により、いくら待っていても点灯状態にならないという症状になってしまいます。2.0Aクラスを使えばいけるのですが、無駄な定格オーバー品をなるべく使用したくないので、或るメーカー(XIAMEN UME ELE.)の1.5A品を試したところうまく動作したのでそれを採用しました。ただし少々待ち時間はかかります。これから冬になり、室内(管球の初期)温度が低いときにも点灯できるか少し心配です。
B電圧が多少変わった(約290V)ので再調整して特性を測り直しました。使用した全球ともバラ品なのでR/L特性は異なりますが、概ね同じレベルなのでRだけ以下に示します。
CL=10.2W、A=24.6dB
(Lチャンネルは、CL=12.2W、A=24.7dB)
NFをかけて最終的な残留雑音は
R/L(VR MIN&MAX) 0.19mV/0.18mV
クロストークは1Wで、
1KHz 雑音レベルのままで変化なし
100Hz R⇒Lが82dB、L⇒Rが92dB
7KHz R⇒Lが81dB、L⇒Rが95dB
でした。
あとは経時変化を適宜確認して完了です(直結ではないので、あまり変化の心配はないはずです)。
肝心の音は?...、もちろん極めて普通です。気分も上々です。ICアンプより良く聴こえる、親?心でしょうか、まあどちらも自作なのですが。
これで音楽を聴きながら今にして思うのは、昔友人に作ったアンプ、回路はありふれた50BM8(非ペア品)PPで初段とPK分割の直結型だったと思います。どこかの雑誌の例を適当にアレンジしてテスターだけで製作しましたが、どんな性能だったのか過去に戻って確かめたい気分です。









