推理小説 『白夜行』、...リフレッシュに大倉崇裕

(2015.10.25作成)
長編の「白夜行」、時間がかかりましたが読み終わりました。病院での待合、たまに出かける遠出の電車内、など時間的にかなり飛び飛びで読んだので物語の繋がりがやや怪しげでしたが、なんとか。
完全読破とは言えないですが、面白かったです。「さまよう刃」とおなじくドキュメントタッチですが、2人の主人公を最後まで傍観的に描写して、幾つかの事件も主人公たちが犯した(企てた)という詳細(確証)が語られていません。中に登場する探偵や、2人を最後まで追う刑事の言葉によって、主人公は限りなく黒に近いグレーに感じられましたが、性善説主義の人はひょっとして異なる感想を抱くかも知れません。主人公たちが犯罪者(犯人)だとすると、少年期の体験と境遇によって全く異質の倫理観を得て犯行を重ねたことになりますが、その斟酌度合いでも感想が変わるかもしれません。
細かいところをぼかして、読み手の視点次第で印象(感想)が変わってしまうという、怖い(ズルい)物語になっています。

原作を読み終えたので映画も見てみましたが、さすがにこの長編を3時間足らずにまとめるのは無理だったという感じがしました。そして最後の回想(犯行の確証)シーンは余計でしたね、原作の不確実な部分が消えてしまいました。映画「ブレードランナー」初期バージョンでのラスト解説的シーンと同じです。視聴者の想像の余韻がしぼんでしまいます。
俳優さん、松本清張「霧の旗」(TV版)ともに好演されてましたが、私的には宮部みゆき「火車」(TV版)に登場した犯人役の女優さんが演じる「白夜行」を見てみたい気分です。「火車」のラストシーン、バンパイア(雪女?・・・)的な牙が能面表情のなかに潜んでるようで、ぞっとさせられました。そしてその牙が氷解して安堵の表情に変わる様が見えたら最高でしたが。

今度は短時間に読み通したいですが、気分が重く沈み込んでしまったので、まずはリフレッシュです。
パレストリーナ、バードのミサ曲、ビクトリアのレクイエムなどを聞いてから、大倉崇裕「小鳥を愛した容疑者」を再読。
そして大倉崇裕の新作「ペンギンを愛した容疑者」が近く発売されるようで、早速に予約注文しました。とても待ち遠しいです。