真空管の動作テスト 仕切り直し その1
(2014.7.16作成)
試験用のB電源は簡単なリニア式で作り直しました。(50V+40V)×2のトランスを使ってタップの接続の組合せで、広範囲の電圧が得られますので、当面これで我慢します。Esgの可変範囲も広げました。前回のはEbから可変定電圧(シャント・レギュレータ)回路で降圧しましたが、Trの耐圧をケチったので0~-60Vの可変範囲でした。ヒーター用は、定電流源式に改造しました。ヒーターは初期抵抗が小さいので、定電圧源では突入電流で保護動作が働いて立ち上がりきれない場合があって、定電流式にしました。まずリニア式で作ってみました(公開するほどの回路ではありません)が、発熱を抑えるためには供給源はヒーター電圧に近いACアダプターが何種類(9、12、15、24V)か必要となり、実験用としてもスマートでないので、結局前のSWレギュレータを若干容量Upして定電流源(LED照明電源と同じです)方式に変更しました。ノイズ発生は比較的小さいです。初段用の差動増幅も若干手直ししました。
((注)現在、以下の試験回路は全てお蔵入り(再利用の価値はありません)です。)
この環境で手頃な球の適当な動作点を探していきます。歪の出方についていろいろ考察しましたが、取り敢えずシングルアンプを検討しますので、歪は少ない方が良く最大出力で1~2%位には抑えたいところです。動作点が決まって負帰還も決めれば、アンプが完成したようなものです(と一段落させたいです)。
そこで動作点の選び方についてです。大抵の設計解説ではIp-Ep特性曲線にロードラインを引いて、云々...、と言う流れになってます。しかし規格表などにある特性、増幅動作例は、掲載されていても特定の条件だけです。それに球の中古を含めたバラツキを考えると、そのまま作る訳にはいきません。しかし、いちいち特性を測定するのも大変です。それで安易な方法で探すことにしました。Ip-Ep特性曲線、みな大方同じ様相をしています。直線性の良い最適な所は、夫々微妙に違いがあるとは思います(それが一番肝心かもしれません)が。なので、動作条件を仮決めして動作させ、波形のクリップ具合や歪率を見比べながら、微調整しようという方法をとります。
(1)試験対象の球は、手持ちの球と、新規に補充する際の入手性・廉価性などを考えて、6CW5と水平偏向管(6GB3A族)で進めることにします。
(2)負荷抵抗は、市販のOPT使用の場合、2、3、5,7、10、12KΩくらいしか選択肢がありませんので、その中から選びます。
(3)所望出力を決めます。それ程大出力は望みません。1Wで十分と言う方もおられるようですが、ピーク出力は平均の数倍が出る場合もありますので、3~4W位以上を目標にします。それに先に作った2ウエイでは、単なる並列接続なので入力電力は所要電力の2倍くらい必要になっています。簡易ピークインディケータを作って、2ウエイ(IMP=5Ω)で試聴用音楽を再生して、実際どれ程の出力で聴いているのかを確認してみました。
1W設定では高頻度でオーバー(LED点灯)します。2Wに調整してもまだ超える部分があります。曲想や録音品質にもよりますが、日中に気分良く聞きたい位の音量では、3~4Wくらいの定格出力がないと心許ない感じです(注.この計測は誤りであったことが後日判明、SP能率に依存はしますが1Wもあれば十分なようです⇒SPをSS-CM3(3W位必要)に替えて所要出力はSPに依存することを改めて納得)。余談ですが、高級(大出力でお高い)アンプにワットメーターが装備されてるのを昔見たことがあります。しかし小出力のアンプにこそワットメーター(ピークホールド機能付き)を備えておいた方が、精神的にも安心できると思います。この表示器、要求性能・精度は低くても良い代物なので、PICマイコンで作った方が簡単で便利かもしれません。
(注)後にPCソフトで出力(ピーク値)メーターを作成しました。
(4)プレート入力を出力から逆算すると、5極管の効率で35%位と考えて10~12W位は必要になります。プレート電流はOPTの飽和を緩和する意味からも小さい方が好ましいと思われるので、プレート電圧を許容範囲で高めにしたいところ(。大体250~350Vくらい)です。肩特性の影響(効率低下)の度合いを減らす意味もあります。3結で動かす場合は特にそうです。小型出力管では結局、定格一杯で使うしかないという事です。
(5)プレート電流と最適負荷抵抗は、プレート入力とプレート電圧から計算で決まります。
プレート電流=プレート入力/プレート電圧
Ip-Ep特性曲線が半導体素子のように肩特性が良好で理想特性に近ければ、動作点を中心に、プレート電圧・電流ともにゼロと無信号時の2倍の間を変化することになり当然
最適負荷抵抗=プレート電圧/プレート電流
となる訳です。実際には肩特性が数十V以上はあるので、プレート電圧の低い方でクリップが発生します。一方プレート電流の小さいほうでも、CG電圧変位にたいする間隔が詰まってきて、こちらもクリップに近い波形になってきます。従って計算した最適負荷抵抗と±1段(前出の選択肢)の負荷抵抗で様子見という感じになります。
(6)SG電圧は、半導体素子で言うところのランク(BL、GR、Y、O)を変えるような効果を与えます。球の規格表でSG電圧を変えたときのIp-Ep特性が掲載されてるのを見れば納得されると思います。ランクが変われば、プレート電流の同じ量の変化でも直線性が変わります。当然負荷抵抗のあるIp-Eg特性もそれに準じます。従って電圧(ランク)を高くした方が一般的には直線性は良く(歪は小さく)なります。ただSG電圧が高いと、プレート電圧が低くなったときのSG損失が過大になる恐れが出てくるので、その辺りの兼ね合いが微妙です。波形がクリップする直前の歪が10%程度に収まるようなSG電圧を見極めて、あとは感覚(好み:歪重視かSG損失重視か)で調整というところです。一般のオーディオ用球では大体プレート電圧と同じ位にしないとプレート電流が十分取れませんが、水平偏向管などの場合は相当低めでも十分な特性が得られるはずです。6CW5もそうゆう傾向ではあります。
(7)負帰還については、色々な方法・考え方があります。
OPTとの関連について言えば(私がバイブルとしているアンプ設計の参考書によれば)、終段の出力インピーダンスが低い程低域の周波数特性が良くなり、歪についても定電圧駆動(インピーダンスが低め)の方が小さくなるようです。しかしメーカー公開のOPT周波数特性は、1次インピーダンスと同じ出力インピーダンスで駆動した時のデータであるとか。OPTにとってDF≧1が好ましいのであれば、5極管の場合は局所帰還が必要になってきます。それで動作点が決まったら、簡単にできそうな局所帰還方法を試して、それらの実態を確かめたいと思います。試すのは超3結と同じP⇒CG帰還と、P⇒SG帰還(5極~UL~3結)です。帰還量はゲインの差分で、出力インピーダンスの変化は通常のDF測定値で判断すればいいでしょう。
その結果をふまえてアンプの形として最終的に、歪と周波数特性と利得を見比べながら、局所帰還とオーバーオールNFBとの損得を考慮して適当な組合せの中から選ぶことにします。
(8)測定器について、以前準備完了と書きましたが、実はミリバルを持っていません(入出力特性が測れません)。中古屋さんを覗いたら、1万位で売ってるのを目にしましたが、アンプの調整くらいしか使いませんので、歪率計(ソフト)をちょいと流用してミリバルとしてPCで動かすことにしました。要は基本波と全高調波を合計表示すれば、そのまま実効値直読の準ミリバルになります。1V単一レンジでも4桁表示くらいできるので十分です。しかし校正は安物ディジタルテスターが頼りなので、フルスケール誤差は10~20%くらいあるかもしれません。オーディオ入力端子なので入力インピーダンスが低いのも弱点です(歪率値は比率測定なので、基本的に誤差はありませんし、校正の必要もありません)。
ミリバル単体を作ってみて、まずまず使えそうなので、歪率計とミリバル2系統を合体させて、入出力特性を1度で測れるように作ってみました。信号出力と歪計測はPC組込みのオーディオ(Realtek HD audio)で、入出力電圧はSoundBlaster(USB)のLとRで測ります。
負荷抵抗値(Ω)と試験信号周波数(Hz)をパラメータとして起動し、
Laaa bbb.bHz c.cc(dd.dd, ee.ee)% f.ff/g.ggV hh.hdB k.kkW
aaa :信号レベル(1000分率:16ビット信号データピーク値 / 32000 * 1000)
bbb.b :周波数(Hz)
c.cc :全高調波(THD+N %)
dd.dd :2次高調波(%) (注)
ee.ee :3次高調波(%) (注)
f.ff :出力電圧(V)
g.gg :入力電圧(V)
hh.h :増幅度(dB)
k.kk :出力(W)
を連続表示します。出力と歪率を見ながら、バイアス等加減して調整します。

こんな感じで表示します。出力とゲインは入出力電圧から計算で表示します。データはファイル出力しますので、これでようやく測定のヤル気が出ます。
こんな調子でのんびりやっていると、思い立ってから1年経ってしまいそうです。やれやれ。
(注) 現在使用のバージョンでは、2次高調波⇒偶数次高調波、3次高調波⇒奇数次高調波の計測値表示に変更しました。
試験用のB電源は簡単なリニア式で作り直しました。(50V+40V)×2のトランスを使ってタップの接続の組合せで、広範囲の電圧が得られますので、当面これで我慢します。Esgの可変範囲も広げました。前回のはEbから可変定電圧(シャント・レギュレータ)回路で降圧しましたが、Trの耐圧をケチったので0~-60Vの可変範囲でした。ヒーター用は、定電流源式に改造しました。ヒーターは初期抵抗が小さいので、定電圧源では突入電流で保護動作が働いて立ち上がりきれない場合があって、定電流式にしました。まずリニア式で作ってみました(公開するほどの回路ではありません)が、発熱を抑えるためには供給源はヒーター電圧に近いACアダプターが何種類(9、12、15、24V)か必要となり、実験用としてもスマートでないので、結局前のSWレギュレータを若干容量Upして定電流源(LED照明電源と同じです)方式に変更しました。ノイズ発生は比較的小さいです。初段用の差動増幅も若干手直ししました。
((注)現在、以下の試験回路は全てお蔵入り(再利用の価値はありません)です。)
この環境で手頃な球の適当な動作点を探していきます。歪の出方についていろいろ考察しましたが、取り敢えずシングルアンプを検討しますので、歪は少ない方が良く最大出力で1~2%位には抑えたいところです。動作点が決まって負帰還も決めれば、アンプが完成したようなものです(と一段落させたいです)。
そこで動作点の選び方についてです。大抵の設計解説ではIp-Ep特性曲線にロードラインを引いて、云々...、と言う流れになってます。しかし規格表などにある特性、増幅動作例は、掲載されていても特定の条件だけです。それに球の中古を含めたバラツキを考えると、そのまま作る訳にはいきません。しかし、いちいち特性を測定するのも大変です。それで安易な方法で探すことにしました。Ip-Ep特性曲線、みな大方同じ様相をしています。直線性の良い最適な所は、夫々微妙に違いがあるとは思います(それが一番肝心かもしれません)が。なので、動作条件を仮決めして動作させ、波形のクリップ具合や歪率を見比べながら、微調整しようという方法をとります。
(1)試験対象の球は、手持ちの球と、新規に補充する際の入手性・廉価性などを考えて、6CW5と水平偏向管(6GB3A族)で進めることにします。
(2)負荷抵抗は、市販のOPT使用の場合、2、3、5,7、10、12KΩくらいしか選択肢がありませんので、その中から選びます。
(3)所望出力を決めます。それ程大出力は望みません。1Wで十分と言う方もおられるようですが、ピーク出力は平均の数倍が出る場合もありますので、3~4W位以上を目標にします。それに先に作った2ウエイでは、単なる並列接続なので入力電力は所要電力の2倍くらい必要になっています。簡易ピークインディケータを作って、2ウエイ(IMP=5Ω)で試聴用音楽を再生して、実際どれ程の出力で聴いているのかを確認してみました。
1W設定では高頻度でオーバー(LED点灯)します。2Wに調整してもまだ超える部分があります。曲想や録音品質にもよりますが、日中に気分良く聞きたい位の音量では、3~4Wくらいの定格出力がないと心許ない感じです(注.この計測は誤りであったことが後日判明、SP能率に依存はしますが1Wもあれば十分なようです⇒SPをSS-CM3(3W位必要)に替えて所要出力はSPに依存することを改めて納得)。余談ですが、高級(大出力でお高い)アンプにワットメーターが装備されてるのを昔見たことがあります。しかし小出力のアンプにこそワットメーター(ピークホールド機能付き)を備えておいた方が、精神的にも安心できると思います。この表示器、要求性能・精度は低くても良い代物なので、PICマイコンで作った方が簡単で便利かもしれません。
(注)後にPCソフトで出力(ピーク値)メーターを作成しました。
(4)プレート入力を出力から逆算すると、5極管の効率で35%位と考えて10~12W位は必要になります。プレート電流はOPTの飽和を緩和する意味からも小さい方が好ましいと思われるので、プレート電圧を許容範囲で高めにしたいところ(。大体250~350Vくらい)です。肩特性の影響(効率低下)の度合いを減らす意味もあります。3結で動かす場合は特にそうです。小型出力管では結局、定格一杯で使うしかないという事です。
(5)プレート電流と最適負荷抵抗は、プレート入力とプレート電圧から計算で決まります。
プレート電流=プレート入力/プレート電圧
Ip-Ep特性曲線が半導体素子のように肩特性が良好で理想特性に近ければ、動作点を中心に、プレート電圧・電流ともにゼロと無信号時の2倍の間を変化することになり当然
最適負荷抵抗=プレート電圧/プレート電流
となる訳です。実際には肩特性が数十V以上はあるので、プレート電圧の低い方でクリップが発生します。一方プレート電流の小さいほうでも、CG電圧変位にたいする間隔が詰まってきて、こちらもクリップに近い波形になってきます。従って計算した最適負荷抵抗と±1段(前出の選択肢)の負荷抵抗で様子見という感じになります。
(6)SG電圧は、半導体素子で言うところのランク(BL、GR、Y、O)を変えるような効果を与えます。球の規格表でSG電圧を変えたときのIp-Ep特性が掲載されてるのを見れば納得されると思います。ランクが変われば、プレート電流の同じ量の変化でも直線性が変わります。当然負荷抵抗のあるIp-Eg特性もそれに準じます。従って電圧(ランク)を高くした方が一般的には直線性は良く(歪は小さく)なります。ただSG電圧が高いと、プレート電圧が低くなったときのSG損失が過大になる恐れが出てくるので、その辺りの兼ね合いが微妙です。波形がクリップする直前の歪が10%程度に収まるようなSG電圧を見極めて、あとは感覚(好み:歪重視かSG損失重視か)で調整というところです。一般のオーディオ用球では大体プレート電圧と同じ位にしないとプレート電流が十分取れませんが、水平偏向管などの場合は相当低めでも十分な特性が得られるはずです。6CW5もそうゆう傾向ではあります。
(7)負帰還については、色々な方法・考え方があります。
OPTとの関連について言えば(私がバイブルとしているアンプ設計の参考書によれば)、終段の出力インピーダンスが低い程低域の周波数特性が良くなり、歪についても定電圧駆動(インピーダンスが低め)の方が小さくなるようです。しかしメーカー公開のOPT周波数特性は、1次インピーダンスと同じ出力インピーダンスで駆動した時のデータであるとか。OPTにとってDF≧1が好ましいのであれば、5極管の場合は局所帰還が必要になってきます。それで動作点が決まったら、簡単にできそうな局所帰還方法を試して、それらの実態を確かめたいと思います。試すのは超3結と同じP⇒CG帰還と、P⇒SG帰還(5極~UL~3結)です。帰還量はゲインの差分で、出力インピーダンスの変化は通常のDF測定値で判断すればいいでしょう。
その結果をふまえてアンプの形として最終的に、歪と周波数特性と利得を見比べながら、局所帰還とオーバーオールNFBとの損得を考慮して適当な組合せの中から選ぶことにします。
(8)測定器について、以前準備完了と書きましたが、実はミリバルを持っていません(入出力特性が測れません)。中古屋さんを覗いたら、1万位で売ってるのを目にしましたが、アンプの調整くらいしか使いませんので、歪率計(ソフト)をちょいと流用してミリバルとしてPCで動かすことにしました。要は基本波と全高調波を合計表示すれば、そのまま実効値直読の準ミリバルになります。1V単一レンジでも4桁表示くらいできるので十分です。しかし校正は安物ディジタルテスターが頼りなので、フルスケール誤差は10~20%くらいあるかもしれません。オーディオ入力端子なので入力インピーダンスが低いのも弱点です(歪率値は比率測定なので、基本的に誤差はありませんし、校正の必要もありません)。
ミリバル単体を作ってみて、まずまず使えそうなので、歪率計とミリバル2系統を合体させて、入出力特性を1度で測れるように作ってみました。信号出力と歪計測はPC組込みのオーディオ(Realtek HD audio)で、入出力電圧はSoundBlaster(USB)のLとRで測ります。
負荷抵抗値(Ω)と試験信号周波数(Hz)をパラメータとして起動し、
Laaa bbb.bHz c.cc(dd.dd, ee.ee)% f.ff/g.ggV hh.hdB k.kkW
aaa :信号レベル(1000分率:16ビット信号データピーク値 / 32000 * 1000)
bbb.b :周波数(Hz)
c.cc :全高調波(THD+N %)
dd.dd :2次高調波(%) (注)
ee.ee :3次高調波(%) (注)
f.ff :出力電圧(V)
g.gg :入力電圧(V)
hh.h :増幅度(dB)
k.kk :出力(W)
を連続表示します。出力と歪率を見ながら、バイアス等加減して調整します。

こんな感じで表示します。出力とゲインは入出力電圧から計算で表示します。データはファイル出力しますので、これでようやく測定のヤル気が出ます。
こんな調子でのんびりやっていると、思い立ってから1年経ってしまいそうです。やれやれ。
(注) 現在使用のバージョンでは、2次高調波⇒偶数次高調波、3次高調波⇒奇数次高調波の計測値表示に変更しました。



