スピーカーの周波数特性とダンピングファクター
(2014.4.3作成)
アンプ(オーディオシステム)の音質にDFが影響しているらしいということは、いろいろな方の解説があることから、覗えます。ただ趣味・嗜好の世界と重なるので、確固たる公式のようなものは出せないのでしょうか。とは言ってもアンプを作る前に自分なりに納得しておいた方がいいかなと考えて実験などをしてみました。
スピーカーと出力インピーダンスとの比率(関係)だけの話なので、私が考察できることは長くはかかりません。
その1.制動力
言葉どおりの作用で、DFが大きいと制動力が増す訳です。試しに16cmフルレンジスピーカーのコーン紙を指で軽く弾いてみます。端子をオープンにすればDF=0、ショートすればDF=∞ですが、DF=∞ではコンコンというかトントンという固い音、DF=0でややボンボン(ボーンボーンとまでは全然いかなくて、強いて言えば)という感じ。DFの最大と最少でもこの程度の差でしかありません。ましてやDF=1(端子に8Ω接続)とDF=0.5(端子に16Ω接続)の違いは全く判りません。径の大きいウーファーならもう少し違いが分かるかもしれませんが、16cmではDFの制動力の違いは判別できない気がします。影響が出るとしても、音質へではなくて、残響と感じられるのではないでし
ょうか(たぶん)。
その2.スピーカーの駆動(周波数特性への影響)
DF=0(内部抵抗=∞)は定電流性の駆動であり、DF=∞(内部抵抗=0)は定電圧性の駆動となります。定電圧駆動はスピーカーのスペック通りの周波数特性となり、定電流駆動はスピーカーのインピーダンス特性に比例したブーストが、スペックの周波数特性に加わった特性になります。ブースト量はDFが小さいほど(定電流性が高くなるので)大きくなるはずです。
それを簡易な実験で傾向を確認してみました。
方法は、DFがある程度大きい半導体アンプでスピーカーと抵抗の直列接続を駆動し、疑似的にDFを変更して周波数特性を測定する、というやり方です。8Ωスピーカーに8Ω抵抗の直列でDF=1という具合です。試験出力(W数?、音圧?)は適当(音量が近所迷惑にならない程度)です。試験用アンプは、パワーアンプ用ハイブリッドICを使った自作品(ICに電源を供給しただけ、という程度の代物)で、特性(注1)は次のとおりです。DFはON/OFF法(8/16Ω切替)で測定しました。
試験スピーカーは、ミニコンポ用のオンキョーD-D1E(2ウェイ、10cmウーファー、IMP=4Ω)(注2)、真空管アンプの実験用にと購入したダイトーボイスDS-16F(16cmフルレンジ、IMP=8Ω)、DS-200FⅡ(20cmフルレンジ、IMP=8Ω)の3点です。DS-16F、DS-200FⅡはそれぞれ約60Lと90Lあり合わせの箱に収めました(実験なので吸音材なしです)。マイクは、比較的安価な測定用マイクが販売されているようですが、取り敢えず手持ちのローランドR-09(デジタル録音機)を使用しました。
PC(HP 1000-1401) ⇒ 試験アンプ ⇒ スピーカー ⇒ R-09 ⇒ PC(HP 1000-1401)
という系です。スピーカー⇔マイク(R-09)間距離は適当(7、80cmくらい)です。
その結果が以下の様になりました。
何れも概ね予想通りの結果になりました。
聴感上は、DS-16F、DS-200FⅡでは明らかに8Ω~32Ω接続が優っています。特性上からも分かります。D-D1Eは顕著ではありませんが、強いて選べば抵抗ありの方が良いかなという感じでした。特性上は共振周波数が100Hzより高いので、DFが小さいと却って低域特性が悪くなりますが、この場合は低域より中域の低下量の方が大きかったようで幾分良く聴こえたのかなと思います。
これでDFの値とスピーカーシステム(+リスニングルーム特性)との組合せによっては、聴感特性が向上する場合があることが確認できました。自作アンプにそれを期待するには、DFを0.1~1くらいで可変設定できるように設計する必要がありそうです。アンプの出力に余裕があるなら今回の実験のように抵抗接続で可変にする手もあります。しかしこの効果はインピーダンス特性に沿った変化しか得られません。そんな頼りない効果をDFに頼らず、もっと積極的に周波数特性を変えてしまえば良いのではないでしょうか。例えばグラフィックイコライザーなどを使って。その場合は逆にアンプのDFの影響が出ないように2以上します(これは簡単なことですが)。
今回の実験で、DFが音質(周波数特性)を左右する場合があることは確かめられました。同時にその限界も理解できました。そして一番音を左右するスピーカー(とその関連)の特性を知っておくことが、気分的な満足度を得るという効果も含めて最も必要なことであると感じた次第です。
(注1)試験アンプの特性を修正しました。
(2014/5/16)
周波数特性は、入力アッティネーターの1/10分圧で測定しましたが、分圧器の周波数特性が加算されていましたので、1/1分圧で再測定しました。
ダンピングファクターは、8/16Ω切替を20ΩVR目盛の切替えで1/10分圧にて測定しましたが、8Ω(テスターで8.0Ω表示)固定抵抗2個を使用して1/1分圧で再測定しました。
(2017/6/22)、(2017/9/20)
IC周りの回路を見直し、作り直しました。
(注2)オンキョーD-D1Eは、2017年秋頃廃棄処分しました。もともと低域が弱いと感じていましたが、測定によってハッキリわかりました。2017年SS-CM3で聴くようになってから、自作の試作SPよりも劣るD-D1Eは多分使う事がないだろうと思い廃棄としました。
アンプ(オーディオシステム)の音質にDFが影響しているらしいということは、いろいろな方の解説があることから、覗えます。ただ趣味・嗜好の世界と重なるので、確固たる公式のようなものは出せないのでしょうか。とは言ってもアンプを作る前に自分なりに納得しておいた方がいいかなと考えて実験などをしてみました。
スピーカーと出力インピーダンスとの比率(関係)だけの話なので、私が考察できることは長くはかかりません。
その1.制動力
言葉どおりの作用で、DFが大きいと制動力が増す訳です。試しに16cmフルレンジスピーカーのコーン紙を指で軽く弾いてみます。端子をオープンにすればDF=0、ショートすればDF=∞ですが、DF=∞ではコンコンというかトントンという固い音、DF=0でややボンボン(ボーンボーンとまでは全然いかなくて、強いて言えば)という感じ。DFの最大と最少でもこの程度の差でしかありません。ましてやDF=1(端子に8Ω接続)とDF=0.5(端子に16Ω接続)の違いは全く判りません。径の大きいウーファーならもう少し違いが分かるかもしれませんが、16cmではDFの制動力の違いは判別できない気がします。影響が出るとしても、音質へではなくて、残響と感じられるのではないでし
ょうか(たぶん)。
その2.スピーカーの駆動(周波数特性への影響)
DF=0(内部抵抗=∞)は定電流性の駆動であり、DF=∞(内部抵抗=0)は定電圧性の駆動となります。定電圧駆動はスピーカーのスペック通りの周波数特性となり、定電流駆動はスピーカーのインピーダンス特性に比例したブーストが、スペックの周波数特性に加わった特性になります。ブースト量はDFが小さいほど(定電流性が高くなるので)大きくなるはずです。
それを簡易な実験で傾向を確認してみました。
方法は、DFがある程度大きい半導体アンプでスピーカーと抵抗の直列接続を駆動し、疑似的にDFを変更して周波数特性を測定する、というやり方です。8Ωスピーカーに8Ω抵抗の直列でDF=1という具合です。試験出力(W数?、音圧?)は適当(音量が近所迷惑にならない程度)です。試験用アンプは、パワーアンプ用ハイブリッドICを使った自作品(ICに電源を供給しただけ、という程度の代物)で、特性(注1)は次のとおりです。DFはON/OFF法(8/16Ω切替)で測定しました。
試験スピーカーは、ミニコンポ用のオンキョーD-D1E(2ウェイ、10cmウーファー、IMP=4Ω)(注2)、真空管アンプの実験用にと購入したダイトーボイスDS-16F(16cmフルレンジ、IMP=8Ω)、DS-200FⅡ(20cmフルレンジ、IMP=8Ω)の3点です。DS-16F、DS-200FⅡはそれぞれ約60Lと90Lあり合わせの箱に収めました(実験なので吸音材なしです)。マイクは、比較的安価な測定用マイクが販売されているようですが、取り敢えず手持ちのローランドR-09(デジタル録音機)を使用しました。
PC(HP 1000-1401) ⇒ 試験アンプ ⇒ スピーカー ⇒ R-09 ⇒ PC(HP 1000-1401)
という系です。スピーカー⇔マイク(R-09)間距離は適当(7、80cmくらい)です。
その結果が以下の様になりました。
何れも概ね予想通りの結果になりました。
聴感上は、DS-16F、DS-200FⅡでは明らかに8Ω~32Ω接続が優っています。特性上からも分かります。D-D1Eは顕著ではありませんが、強いて選べば抵抗ありの方が良いかなという感じでした。特性上は共振周波数が100Hzより高いので、DFが小さいと却って低域特性が悪くなりますが、この場合は低域より中域の低下量の方が大きかったようで幾分良く聴こえたのかなと思います。
これでDFの値とスピーカーシステム(+リスニングルーム特性)との組合せによっては、聴感特性が向上する場合があることが確認できました。自作アンプにそれを期待するには、DFを0.1~1くらいで可変設定できるように設計する必要がありそうです。アンプの出力に余裕があるなら今回の実験のように抵抗接続で可変にする手もあります。しかしこの効果はインピーダンス特性に沿った変化しか得られません。そんな頼りない効果をDFに頼らず、もっと積極的に周波数特性を変えてしまえば良いのではないでしょうか。例えばグラフィックイコライザーなどを使って。その場合は逆にアンプのDFの影響が出ないように2以上します(これは簡単なことですが)。
今回の実験で、DFが音質(周波数特性)を左右する場合があることは確かめられました。同時にその限界も理解できました。そして一番音を左右するスピーカー(とその関連)の特性を知っておくことが、気分的な満足度を得るという効果も含めて最も必要なことであると感じた次第です。
(注1)試験アンプの特性を修正しました。
(2014/5/16)
周波数特性は、入力アッティネーターの1/10分圧で測定しましたが、分圧器の周波数特性が加算されていましたので、1/1分圧で再測定しました。
ダンピングファクターは、8/16Ω切替を20ΩVR目盛の切替えで1/10分圧にて測定しましたが、8Ω(テスターで8.0Ω表示)固定抵抗2個を使用して1/1分圧で再測定しました。
(2017/6/22)、(2017/9/20)
IC周りの回路を見直し、作り直しました。
(注2)オンキョーD-D1Eは、2017年秋頃廃棄処分しました。もともと低域が弱いと感じていましたが、測定によってハッキリわかりました。2017年SS-CM3で聴くようになってから、自作の試作SPよりも劣るD-D1Eは多分使う事がないだろうと思い廃棄としました。



