シングルアンプの2次歪打消し

(2014.10.31作成)
やっつけで作った実機ですが、毎日BGM鳴らして快く聞き入っています。今までのICアンプはノイズが若干あるせいでしょうか、何かザラついた感じでした。今は本当に消えゆく余韻まで音が澄んでいる気がします(自画自賛...)。次の実験をするモチベーションも下がり気味です。

しかし気を取り直して、シングルの実験です。いままで初段は低歪となるようにと、供給電圧を高くした差動回路を使っていましたが、シングルアンプの2次歪打消しについての製作例などを見かけて、私もやってみようと思いました。3次歪については計算で打消しの可能性を考察をしましたが、シングルの場合には今までの実験で5極管でも3結でも2次歪が主要な歪であるのを見てきましたので、それが多少なりとも軽減できれば大きい事なので、その打消しの具合を確かめる事にします。打消し側(前段)は当然2次歪だけの方が良い訳で3極管としたいところですが、手頃な電圧増幅球の手持ちが少ないので、トランジスタの固定バイアスで実験します。温度変化に対する安定度が最も悪いと教科書に書かれていますが、高度で難しい回路は頭を捻っても出てきませんし、個人の趣味なので問題ないです。歪打消しにおいても終段の設計と同様に、終段とその前段の特性曲線にロードラインを引いて打消し具合を見ながら設計するという流れのようですが、前にも書いた通り中古品では特性も怪しげですし、都合の良い動作点を含む特性が公開されているのは期待できませんので、やはり直接歪を見ながら調整するのが簡単です。それで次のようにシングルの実験回路を作りました。


UL疑似動作は、約25%位と3結の固定切替にしました。初段(Tr)のバイアスを浅くすれば直線性が向上して歪が小さくなり、深くすれば逆になります。Trの動作点が固定に出来ないので、最初からCR結合とします。球のバイアスは24VのACアダプターで供給する事にして、ヒーターは以前作った定電圧型のSWレギュレータを使用します。
実験球は10CW5(中古)を使い、前に失敗したUL接続の特性も再確認します。5結は1W以上の出力で3次歪が急激に増加してくるので、今回の目的には都合が悪く除外します。またRLも適正値より低めにして3次歪を抑えます。通常は2次歪が多すぎて実用的ではありません。

それではまずUL25%裸の特性です。
Ep=260V、Ik=50mA、Esg=170V、Ec=-13.25V、RL=3KΩ、初段コレクタ電圧=20V
CL=5.4W、A=55.5dB





次は打消し(初段のバイアスを加減して、4W位の歪が低くなるポイントを探した)結果です。周波数特性(レベルとDF)は殆ど変化が見られないので省略します。
初段コレクタ電圧=約77V
CL=6.0W、A=49.1dB





3次歪が、打消しの合成で発生する分と初段の分とで、結構増加しました。しかし適正RLの場合より出力は大きく、歪特性もシングル無帰還としてみれば、かなり良好になりました。

これにNF(RNF=4.7Kで15dB)を掛けてみました。
CL=5.7W、A=34.6dB





十分使える特性が得られました。

次は3結の裸特性です。出力が小さいので6CW5では使いませんが、ついでに測定しました。
Ep=260V、Ik=50mA、Esg=210V、Ec=-18.5V、RL=1.5KΩ、初段コレクタ電圧=20V
CL=2.2W、A=48.8dB





次は打消しの結果です。
初段コレクタ電圧=約61V
CL=2.5W、A=45.5dB





NF(RNF=4.7Kで9dB)を掛けた結果です。
CL=2.7W、A=36.4dB





シングルアンプの場合は、初段も今回使ったシングルの方が色々試せて良さそうです。何といっても製作が簡単です。オーバーオールNFBを30dB近くかけるより、歪打消しを適宜加えた方が、良いアンプに仕上がりそうです。
これをステレオ化してユニバーサルシングルアンプとすることにします。