プッシュプル実験回路の再修正

(2017.11.28作成)
ユニバーサルシングルアンプの調子が(使い勝手も)良いので、プッシュプルアンプに取り組む意欲が低下気味です。

プッシュプル試験機のB電源をシングル機と同じにしました。OPTにはSG(UL50%)端子があり基本的にそれを使うのが一番良さそうなのでUL分圧用のVRはスペースを食うので止めにして、保険的に固定抵抗分圧(UL33%)だけを用意しておきます。ドライバの電源と回路は作り直しが面倒なので以前のをそのまま使用。ユニバーサル機(実機)に仕上げるときはシングル機と同形(1個のPT)にします。SGへは発振抑止の抵抗を入れられるようにICソケット(2P)を接続、Isgを測れるように10Ωを入れておきます。今まで使っていたPT(Z-1)は実機で使う事にして、50W(Z-05)に交換。
動かしてみたらノイズが少し多い感じで、ドライバ基板の電源フィルタや信号入力線の引き回しなどをいじりましたが変わりなく、結局ドライバ基板近くのB電源用PTの誘導が原因だったようです。PTを少し遠ざけて配置して改善しました。

5結: J1、J5ショート
UL33%: J1、J4ショート
UL50%: J2、J5ショート
UL100%(3結): J3、J5ショート

プッシュプルでの動作はシングルより単純です。
3極管の場合、Ip-Ep特性でEc=0とロードライン(RL/4)の交点(Ipmax)と原点で2等辺三角形になる形が最大出力が得られる状態です(rp≒RL/4になります)。無信号時のIp(とIpmaxの比)は、動作クラス(A~AB~B)の度合いを変えるだけになります。ただ最適の場合Ipmaxはかなり高めの傾向になりOPTを適切に選ばないと高出力時の低域特性の劣化が著しくなります。球で最大Ikを出し切れない恐れもあります。歪率などの特性を考えた場合、最適(最大出力の得られる)RLより高めを使用した方が良い結果が得られるようです。
5極管の場合は、肩特性を(Ips、Eps)とすればRL/4≒(Ep-Eps)/Ips辺りが歪特性の分岐点となり、Epを高くする(あるいはEsgを下げる)かRLを小さくすれば2次歪主体の動作となりPPでの打ち消しが上手くいくと思われます。Epを高くするのは最大プレート損失の関係でIpとIpmaxの比が大きくなり好ましくはありません。UL動作の場合は肩特性(2次歪主体への分岐点)自体がハッキリしません。
結局はカットアンドトライが主体で、という事になります。

お試しに最初の実機では電圧調整できず結果がイマイチだった8B8を、RL=5KΩ固定で色々と動かしてみました。
しかし全般に高域の歪率が悪く8B8はやはり使えないなと思い、12GB3で前試験の状態を作ろうと調整したのですが全般的に歪率(とくに8B8同様高域)が悪く上手くいきません。ドライバ基板をいじった為かと、散々にあがいた結果、差動増幅のドライバ自体がダメな事が分かりました。
ドライバのバイアスは、振幅が取れる範囲で出来るだけ浅い方が当然直線性(歪率)が良好になるだろうと、いままでコレクタ電圧は30V程度で試験してました。しかし周波数特性をみたら一寸解せない結果でした。
Ec=約30V、出力振幅=約5V(14Vp-p)での測定です。


高域ほど差動増幅的から外れてるようです。何故なのか?前のPP試験ではどうして普通に良い特性をだせたのか?皆目分かりません。
それにドライバをどう改善すればいいのか私の知恵では??なので、取りあえずとEcを変えて特性を測ってみました。



これまた驚きです。100Vくらいまで上げると、3次歪は増加しますがフラットな特性で差動増幅的な感じになってます。これ以上は3次歪が少しずつ増加していくだけのようです。
なので理由付けはこの際うやむやにして、この試験機においてはEc=115V位を既定値として動かすことにしました。

改めて8B8の試験です。
データシートから肩特性は
Ep≒40V、Ip=175mA (Esg=200V)
Ep≒50V、Ip=150mA (Esg=170V)
計算上はEsg=200Vの場合はEp≒260V(Po≒19W)、Esg=170Vの場合はEp≒240V(Po≒14W)となりますが、Ipmax/Ip比が大きすぎて現実的ではないでしょう。Epを220V位を中心にEsgの加減も見ながら良い所を探しました。

Ep=220V
Ik=23.7/22.5mA
Esg=220/213V
Ec=-18.8/-19.5V
UL=0%(5結)
ヒーターは2本直列で15VACアダプターを接続

NFなし歪率特性
A(1KHz、1W)=44.5dB
CL(1KHz)=10.3W




NF10dBでの歪率特性と周波数特性(1W)
(周波数特性(レベル)は基本波のレベル表示)
A(1KHz、1W)=34.5dB
CL(1KHz)=10.0W





Ep=235V
Ik=29mA
Esg=230V
Ec=-19.0/-19.8V
UL=50%(SGタップ)

NFなし歪率特性
A(1KHz、1W)=41.8dB
CL(1KHz)=7.7W




NF10dBでの歪率特性と周波数特性(1W)
(周波数特性(レベル)は基本波のレベル表示)
A(1KHz、1W)=31.9dB
CL(1KHz)=7.6W





8B8、なかなかに侮れない特性になりました。5結でも十分な感じです。ULはICアンプのような歪率特性です。

次に12GB3を動かしてみましたが、特性がバラバラ過ぎて前回並みの特性は出せず断念しました。代わりに6GB3Aを使ってみました。こちらはペアの様な特性で調整が楽に済みました。

Ep=265V
Ik=47mA
Esg=130V
Ec=-18.2/-18.1V
UL=50%(SGタップ)

NFなし歪率特性
A(1KHz、1W)=43.9dB
CL(1KHz)=13.2W




NF10dBでの歪率特性と周波数特性(1W)
(周波数特性(レベル)は基本波のレベル表示)
A(1KHz、1W)=33.9dB
CL(1KHz)=13.3W





全般に低域(100Hz以下)の歪率は中高域より劣っていますが、以前の試験で分かったとおりOPT-15Pの場合は出力が上がっても特性が急激に崩れる事がないので問題ありません。OPT-35P(実機で使用予定)を使えば大分良好になるはずです。

無事にプッシュプルの特性が出せてホッとしました。あとはボチボチと実機製作を進めていくことにします。