超3結と普通のNF、8B8で比較実験
(2017.2.28作成)
2軍、ピンチヒッター球、もうちょっと何かできるのかなどと思いながら超3結の製作記事を拝見して、高NFで終段の内部抵抗が下がり小さいOPTでも低域特性が良くなる...、などと書かれているのが気になりました。しかし掲載されてる特性を見ても、超3結で何が良いのか? 独特の効果が有るのか無いのか良く分かりません。
以前の仕切り直し実験の際にP-CG帰還は普通のNFと本質的な差はなく不要と簡単に断じてしまいましたがウルトラリニアのような優れた方式が見つけられたので、やはり自分で改めて納得できる検証をしてみることにしました。
私のシングルアンプは2段増幅なので、NF方法としては(a)オーバーオール、(b)終段Pから初段エミッタ、(c)超3結的(または直接的なP-CG帰還)の3タイプが考えられます。(b)タイプは多段増幅回路で高NF(25dB超)を用いるアンプでの多重(a+b)NFとして多用されてます。他には出力段カソードとOPTの2次巻線でのKNFも良く使われてるようですが、単段オーバーオールNF(局所帰還に分類される)で特別な効果(記事からは読み取れませんが)は無いと思われますし、何よりOPTに依存して自由度も低いので除外です。
比較試験の前に、まずは超3結の動作について自分なりに消化してみました。
製作記事で多くみられる基本回路です。初段はSRPP風ですがバランス動作ではなく単純にFETと能動負荷とみなせるので、まずは能動負荷の3極管部分だけ取り出して考えてみます。
真ん中の等価回路で、μ * Rk >> rp と仮定すれば、右のRf(= μ * Rk)と同じと考えられます。GとKの電位(振幅)差は1/μ程度なので、同一と考えていいでしょう。
よって最初の基本回路は、次のように抵抗Rfに置き換えた形に書き直せます。
これを等価回路(下左図)で表して、rp1 >> Rf >> rp2 >> RL と大胆に仮定・整理すると、ゲインG(Eo / E1)は gm1 * Rfになります(多分? )。
右の簡略化した等価回路を実回路に戻すと次のようになります。
性能(歪特性)は初段(gm1の特性)だけが担うことになります(あくまでイメージです)。
実験
製作例のように直結型ではバイアスの安定性(不安定性? )が特性を左右してしまうので、帰還率は下がりますが試験の再現性を期すためにCR結合としました。初段は2SK30Aの使用が多く見受けられますが、自前のシングルアンプ用ドライブを使うことにします。球は6BM8系の製作例が多いので、以前にPP実機の製作で試した8B8を使います。OPTにはOPT-5Sで、これよりレベルを落とすと6DW5(UL)を使ったシングル用OPT比較実験で分かったように、OPTの性能劣化が先に出てしまい回路の特性差が埋もれてしまいます。回路の性能がどれだけ良くても、OPTの選択を誤ると期待した性能が得られません。
帰還管は概ね330KΩ(=μ(70) * 4.7K)と等価なので、純抵抗に置き換えた場合も測ってみます。3極管帰還では、5極管のグリッド抵抗は3極管がドライブするので初段負荷に影響ないですが、抵抗負荷の場合は初段交流負荷にグリッド抵抗もパラに入るので下記回路では3極管帰還の場合の1/2になります(ゲインも1/2になります)。また帰還率も概ね半減します。
アンプ製作では最初に裸の特性で調整し、その後でNFを掛けながら最終調整するのが普通の手順ですが、超3結の場合何方もその手順を踏まれてないように見受けられます。何故なのかその辺り理解できないところです。
試験はまず無帰還、つまりは出力段Pへの帰還接続をB電源側に付け替えた回路で行います。
動作点は以下のとおりです。Rf使用の無帰還タイプで歪率特性を見て、適当な所を選びました。
Ep 190V (Esg=Eb=200V)
Ecg -14.5V (5極管Ik 40mA)
OPT 5KΩ結線
初段エミッタ抵抗 500Ω
初段コレクタ電圧 20V(試験回路の組み換えで、Trバイアス(1M VR)の若干調整を要します)
8B8のヒーター 5Vと3.3VのACアダプター直列(8.3V)で点灯
(1)抵抗Rf使用のB電源直結
最も普通のCR結合2段増幅アンプの構成です。
ゲイン= 47.6dB、 CL(1KHz)= 2.4W
歪率特性
周波数特性
(2)3極管(帰還管)PのB電源直結ゲイン= 53.1dB、 CL(1KHz)= 2.3W
歪率特性
周波数特性
初段の交流負荷抵抗が抵抗負荷(1)の場合の2倍になるので、ゲインが約2倍(+6dB)になりました。でも初段の動作はRLが直線性の良いところで固定してるので、(1)と(2)の特性全体は概ね同一です。これで3極管帰還部分は330KΩと等価で、Rfに置き換えても特性・回路動作的に略同等あることが実験でも確認できました。なので直結の場合は帰還回路に3極管を使う意味のない事がデータでも示せた訳ですが、本実験はCR結合なので終段グリッド抵抗の影響の有無(つまりはトータルゲインとNF量の差)だけではありますが、2本立て(Rfと3極管使用)の比較で実験を進めていきます。
(3)抵抗Rfを5極管Pへ接続したP-CG帰還
ゲイン= 25.1dB、 CL(1KHz)= 2.3W
歪率特性
周波数特性
(1)とのゲイン差からNFは22.5dBであることになります。案の定、NF量の割に歪が多いです。
(4)3極管(帰還管)を5極管Pへ接続したP-CG帰還(超3結形式)
ゲイン= 26.7dB、 CL(1KHz)= 2.1W
歪率特性
周波数特性
超低域(35Hz以下)が不安定で、周波数特性が計測できませんでした。
(2)とのゲイン差からNFは26.4dBであることになります。抵抗帰還(3)は3極管帰還と比べて負荷抵抗が1/2(歪が2倍)、帰還率が1/2(歪が2倍)なので、抵抗帰還(3)より歪率特性が3~4倍良好になっています。
(5)抵抗RfのB電源直結で、5極管P-初段エミッタNF
NF26.4dBとなるよう2M(VR)を調整(約172KΩ)して測定
(上図のとおり、補正回路なし)
歪率特性
周波数特性
総合的に超3結(4)より良好な特性です。とくにCL手前の特性が大分良いです。
(6)抵抗RfのB電源直結で、オーバーオールNF
NF26.4dBとなるよう200K(VR)を調整(約5.7KΩ)して測定
(上図のとおり、補正回路なし)
歪率特性
周波数特性
総合的に最も良い特性になっています。
(結論)
超3結は解析した通り初段の歪を増加させてしまうので、NFの分だけでの比較は難しいです。ただ解析を裏付ける結果は得られました。
歪率(特性)は明らかに
オーバーオールNF < OPT1次-初段エミッタNF < 超3結
となっています。
超3結: 終段にNFを掛けるために初段(前段)の増幅特性(歪率)が大きく悪化してしまう ⇒ トータルで一般のアンプで同じNFを掛けた場合より歪率特性が劣る
OPT1次-初段エミッタNF: 超3結のように他を悪化させることはないが、OPT歪率の改善がされない
オーバーオールNF: 初段、終段、OPTで混合された歪をフィードバックしてるので、それら全てが改善される
これら方式の特徴と測定結果が一致していますので、オーバーオールNFが最良の方式であると確認できました。
超3結、初段特性の悪化を改善させる手段があるとしても、終段にかけたNFの元が取れていません。何より小型OPTを使っての良好な低域特性というのがお題目のように思えましたが、OPTを包含しないNFに期待するのは無理でした。終段の内部抵抗が下がるから玩具みたいなOPTでも良い音が出せる、などはNF無しの3極管アンプが良い音がするというのと同じ括りの妄想(戯言)です。
アンプはシステムの一種ですが、局所性能だけに目を向けて注力し他の性能低下を招いてしまうというのは、システム設計の観点からも良い方式とは言えません。木を見て森を見ず、です。
2軍、ピンチヒッター球、もうちょっと何かできるのかなどと思いながら超3結の製作記事を拝見して、高NFで終段の内部抵抗が下がり小さいOPTでも低域特性が良くなる...、などと書かれているのが気になりました。しかし掲載されてる特性を見ても、超3結で何が良いのか? 独特の効果が有るのか無いのか良く分かりません。
以前の仕切り直し実験の際にP-CG帰還は普通のNFと本質的な差はなく不要と簡単に断じてしまいましたがウルトラリニアのような優れた方式が見つけられたので、やはり自分で改めて納得できる検証をしてみることにしました。
私のシングルアンプは2段増幅なので、NF方法としては(a)オーバーオール、(b)終段Pから初段エミッタ、(c)超3結的(または直接的なP-CG帰還)の3タイプが考えられます。(b)タイプは多段増幅回路で高NF(25dB超)を用いるアンプでの多重(a+b)NFとして多用されてます。他には出力段カソードとOPTの2次巻線でのKNFも良く使われてるようですが、単段オーバーオールNF(局所帰還に分類される)で特別な効果(記事からは読み取れませんが)は無いと思われますし、何よりOPTに依存して自由度も低いので除外です。
比較試験の前に、まずは超3結の動作について自分なりに消化してみました。
製作記事で多くみられる基本回路です。初段はSRPP風ですがバランス動作ではなく単純にFETと能動負荷とみなせるので、まずは能動負荷の3極管部分だけ取り出して考えてみます。
真ん中の等価回路で、μ * Rk >> rp と仮定すれば、右のRf(= μ * Rk)と同じと考えられます。GとKの電位(振幅)差は1/μ程度なので、同一と考えていいでしょう。
よって最初の基本回路は、次のように抵抗Rfに置き換えた形に書き直せます。
これを等価回路(下左図)で表して、rp1 >> Rf >> rp2 >> RL と大胆に仮定・整理すると、ゲインG(Eo / E1)は gm1 * Rfになります(多分? )。
右の簡略化した等価回路を実回路に戻すと次のようになります。
性能(歪特性)は初段(gm1の特性)だけが担うことになります(あくまでイメージです)。
では3極管帰還(基本回路)をRfに置き換えた回路で、初段の動作を考えてみます。
無信号時、ドレインは200V超のB電源に数百KΩ(Rf = μ*Rk)の負荷抵抗で繋がり、動作点Bにあるとします。
ドレインへの給電が固定(帰還なしでB電源直結)で入力が±1ポイント振れると、動作点がA~B~Cと振れて、Eo±⊿の出力が得られます。しかし実際には初段の出力がEo+⊿になった(出力段のIpが最大)時、ドレインの給電(=出力段P)は最低電圧になり、初段のロードラインは-Rfになるので、動作点はCでなくC-になります。同様にA点も実際はA+になり、実質的にはロードラインRf(ef)上で動作してることになります(出力段のゲインをGとするとRf(ef)=Rf / (1+G)になります)。実質的な負荷抵抗が小さいので、所要入力も±3ポイント必要(上図の場合では)になります。ただし歪が大きくなるので、-3ポイントではD-までしか振れません。それで終段のP電圧も下がりきらず、真のロードラインも-RFでなく、~Rfまでしか下がらないことになります。
結局、所要入力が3倍必要になり、出力振幅もEo±⊿から、Eo-⊿ ⇔ Eo+d へと歪を含んだ振幅になります。
これを改善するとしたら、初段ドレインに定電流源を付加して、ロードライン(Rf)が上下する範囲をより直線性の良い特性曲線の上の方へ移動させる方法が考えられます。勿論製作例の多くでやられてる様にソース抵抗で帰還を掛けるという方法もあります(ただし初段のゲインは更に下がってしまいます)。
このロードラインの解析を踏まえて5極管特性でのゲイン(=gm*負荷抵抗)を考えると、
G = G1 * G2 (初段ゲイン * 終段ゲイン)
= gm1 * (Rf / (1+G2)) * gm2 * RL
= gm1 * (Rf / (1+gm2 * RL)) * gm2 * RL
(≒ gm1 * Rf: 等価回路での解析結果に等しい)
(3極管帰還の場合: Rf ≒ μ * Rk)
初段の実質的な負荷が1 / (1+gm2 * RL)になり、初段のゲイン(≒全体のゲイン)も同率で小さくなるというのが、現実的なイメージです。
終段を省略した簡略(FETだけの)回路で、400V超のB電源(固定)にRfで接続されたTrが±200Vを出力すると考えても、上と同様の歪をもたらすのが分かると思います。
以上は初段の動作を終段が無歪として見た場合ですが、例えば終段のP電圧が低くなる(P電流が最大)時に2次歪が増加、振幅が大きくなったとします。つまりは~Rfラインがより低くなった場合、-3ポイントとの交差点はD-よりさらに小さくなります(⇒終段への+出力が減少)。よって実際はP電流の増加が抑制されてP電圧も上昇(下がりきらず)、終段の歪があってもRf(ef)ラインに拘束されて、初段の特性由来の歪だけが前面にでてくるという結果になります。いずれにしても解析してみたら
<< アンプの性能(音~歪)は初段(出力管でも帰還用3極管でもなく、ドライバだけ)が一手に担う >>
<< 今回の実験回路(つまりはSTC)は単にOPT負荷Trシングルアンプ >>
無信号時、ドレインは200V超のB電源に数百KΩ(Rf = μ*Rk)の負荷抵抗で繋がり、動作点Bにあるとします。
ドレインへの給電が固定(帰還なしでB電源直結)で入力が±1ポイント振れると、動作点がA~B~Cと振れて、Eo±⊿の出力が得られます。しかし実際には初段の出力がEo+⊿になった(出力段のIpが最大)時、ドレインの給電(=出力段P)は最低電圧になり、初段のロードラインは-Rfになるので、動作点はCでなくC-になります。同様にA点も実際はA+になり、実質的にはロードラインRf(ef)上で動作してることになります(出力段のゲインをGとするとRf(ef)=Rf / (1+G)になります)。実質的な負荷抵抗が小さいので、所要入力も±3ポイント必要(上図の場合では)になります。ただし歪が大きくなるので、-3ポイントではD-までしか振れません。それで終段のP電圧も下がりきらず、真のロードラインも-RFでなく、~Rfまでしか下がらないことになります。
結局、所要入力が3倍必要になり、出力振幅もEo±⊿から、Eo-⊿ ⇔ Eo+d へと歪を含んだ振幅になります。
これを改善するとしたら、初段ドレインに定電流源を付加して、ロードライン(Rf)が上下する範囲をより直線性の良い特性曲線の上の方へ移動させる方法が考えられます。勿論製作例の多くでやられてる様にソース抵抗で帰還を掛けるという方法もあります(ただし初段のゲインは更に下がってしまいます)。
このロードラインの解析を踏まえて5極管特性でのゲイン(=gm*負荷抵抗)を考えると、
G = G1 * G2 (初段ゲイン * 終段ゲイン)
= gm1 * (Rf / (1+G2)) * gm2 * RL
= gm1 * (Rf / (1+gm2 * RL)) * gm2 * RL
(≒ gm1 * Rf: 等価回路での解析結果に等しい)
(3極管帰還の場合: Rf ≒ μ * Rk)
初段の実質的な負荷が1 / (1+gm2 * RL)になり、初段のゲイン(≒全体のゲイン)も同率で小さくなるというのが、現実的なイメージです。
終段を省略した簡略(FETだけの)回路で、400V超のB電源(固定)にRfで接続されたTrが±200Vを出力すると考えても、上と同様の歪をもたらすのが分かると思います。
以上は初段の動作を終段が無歪として見た場合ですが、例えば終段のP電圧が低くなる(P電流が最大)時に2次歪が増加、振幅が大きくなったとします。つまりは~Rfラインがより低くなった場合、-3ポイントとの交差点はD-よりさらに小さくなります(⇒終段への+出力が減少)。よって実際はP電流の増加が抑制されてP電圧も上昇(下がりきらず)、終段の歪があってもRf(ef)ラインに拘束されて、初段の特性由来の歪だけが前面にでてくるという結果になります。いずれにしても解析してみたら
<< アンプの性能(音~歪)は初段(出力管でも帰還用3極管でもなく、ドライバだけ)が一手に担う >>
<< 今回の実験回路(つまりはSTC)は単にOPT負荷Trシングルアンプ >>
ということになりますので、実験のモチベーションはさがります(高級(高額)な球を終段に使っても特徴が出ない(無駄になる)という事)。
実験
製作例のように直結型ではバイアスの安定性(不安定性? )が特性を左右してしまうので、帰還率は下がりますが試験の再現性を期すためにCR結合としました。初段は2SK30Aの使用が多く見受けられますが、自前のシングルアンプ用ドライブを使うことにします。球は6BM8系の製作例が多いので、以前にPP実機の製作で試した8B8を使います。OPTにはOPT-5Sで、これよりレベルを落とすと6DW5(UL)を使ったシングル用OPT比較実験で分かったように、OPTの性能劣化が先に出てしまい回路の特性差が埋もれてしまいます。回路の性能がどれだけ良くても、OPTの選択を誤ると期待した性能が得られません。
帰還管は概ね330KΩ(=μ(70) * 4.7K)と等価なので、純抵抗に置き換えた場合も測ってみます。3極管帰還では、5極管のグリッド抵抗は3極管がドライブするので初段負荷に影響ないですが、抵抗負荷の場合は初段交流負荷にグリッド抵抗もパラに入るので下記回路では3極管帰還の場合の1/2になります(ゲインも1/2になります)。また帰還率も概ね半減します。
アンプ製作では最初に裸の特性で調整し、その後でNFを掛けながら最終調整するのが普通の手順ですが、超3結の場合何方もその手順を踏まれてないように見受けられます。何故なのかその辺り理解できないところです。
試験はまず無帰還、つまりは出力段Pへの帰還接続をB電源側に付け替えた回路で行います。
動作点は以下のとおりです。Rf使用の無帰還タイプで歪率特性を見て、適当な所を選びました。
Ep 190V (Esg=Eb=200V)
Ecg -14.5V (5極管Ik 40mA)
OPT 5KΩ結線
初段エミッタ抵抗 500Ω
初段コレクタ電圧 20V(試験回路の組み換えで、Trバイアス(1M VR)の若干調整を要します)
8B8のヒーター 5Vと3.3VのACアダプター直列(8.3V)で点灯
(1)抵抗Rf使用のB電源直結
最も普通のCR結合2段増幅アンプの構成です。
ゲイン= 47.6dB、 CL(1KHz)= 2.4W
歪率特性
周波数特性
(2)3極管(帰還管)PのB電源直結ゲイン= 53.1dB、 CL(1KHz)= 2.3W
歪率特性
周波数特性
初段の交流負荷抵抗が抵抗負荷(1)の場合の2倍になるので、ゲインが約2倍(+6dB)になりました。でも初段の動作はRLが直線性の良いところで固定してるので、(1)と(2)の特性全体は概ね同一です。これで3極管帰還部分は330KΩと等価で、Rfに置き換えても特性・回路動作的に略同等あることが実験でも確認できました。なので直結の場合は帰還回路に3極管を使う意味のない事がデータでも示せた訳ですが、本実験はCR結合なので終段グリッド抵抗の影響の有無(つまりはトータルゲインとNF量の差)だけではありますが、2本立て(Rfと3極管使用)の比較で実験を進めていきます。
(3)抵抗Rfを5極管Pへ接続したP-CG帰還
ゲイン= 25.1dB、 CL(1KHz)= 2.3W
歪率特性
周波数特性
(1)とのゲイン差からNFは22.5dBであることになります。案の定、NF量の割に歪が多いです。
(4)3極管(帰還管)を5極管Pへ接続したP-CG帰還(超3結形式)
ゲイン= 26.7dB、 CL(1KHz)= 2.1W
歪率特性
周波数特性
超低域(35Hz以下)が不安定で、周波数特性が計測できませんでした。
(2)とのゲイン差からNFは26.4dBであることになります。抵抗帰還(3)は3極管帰還と比べて負荷抵抗が1/2(歪が2倍)、帰還率が1/2(歪が2倍)なので、抵抗帰還(3)より歪率特性が3~4倍良好になっています。
(5)抵抗RfのB電源直結で、5極管P-初段エミッタNF
NF26.4dBとなるよう2M(VR)を調整(約172KΩ)して測定
(上図のとおり、補正回路なし)
歪率特性
周波数特性
総合的に超3結(4)より良好な特性です。とくにCL手前の特性が大分良いです。
(6)抵抗RfのB電源直結で、オーバーオールNF
NF26.4dBとなるよう200K(VR)を調整(約5.7KΩ)して測定
(上図のとおり、補正回路なし)
歪率特性
周波数特性
総合的に最も良い特性になっています。
(結論)
超3結は解析した通り初段の歪を増加させてしまうので、NFの分だけでの比較は難しいです。ただ解析を裏付ける結果は得られました。
歪率(特性)は明らかに
オーバーオールNF < OPT1次-初段エミッタNF < 超3結
となっています。
超3結: 終段にNFを掛けるために初段(前段)の増幅特性(歪率)が大きく悪化してしまう ⇒ トータルで一般のアンプで同じNFを掛けた場合より歪率特性が劣る
OPT1次-初段エミッタNF: 超3結のように他を悪化させることはないが、OPT歪率の改善がされない
オーバーオールNF: 初段、終段、OPTで混合された歪をフィードバックしてるので、それら全てが改善される
これら方式の特徴と測定結果が一致していますので、オーバーオールNFが最良の方式であると確認できました。
超3結、初段特性の悪化を改善させる手段があるとしても、終段にかけたNFの元が取れていません。何より小型OPTを使っての良好な低域特性というのがお題目のように思えましたが、OPTを包含しないNFに期待するのは無理でした。終段の内部抵抗が下がるから玩具みたいなOPTでも良い音が出せる、などはNF無しの3極管アンプが良い音がするというのと同じ括りの妄想(戯言)です。
アンプはシステムの一種ですが、局所性能だけに目を向けて注力し他の性能低下を招いてしまうというのは、システム設計の観点からも良い方式とは言えません。木を見て森を見ず、です。
終段利得を実質0dBにするなら、回路解析や調整が単純なカソードフォロアアンプの方がマシだと思います。
それよりなにより超3結では、終段の特性が殆ど意味をなさない(終段球が活かされてない)ので、私的には管球アンプを作るという意味から外れてしまいます。その点では終段カソードフォロアアンプとかSTCに類似のCAS-COMPなども同じですね。敢えて歪混じりの出力をアンプの音色と言うなら、これらは皆ドライバ(Tr、OPアンプなど)の増幅直線性を頼みにして、その音色??を聴くことになる訳で、出力段に上等(高価)な1軍球を使う意味がありません(無駄な投資です)。
超3結、他に異なる構成の方式(バージョン)があるらしいですが、これ以上の追究は止めておきます。
それよりなにより超3結では、終段の特性が殆ど意味をなさない(終段球が活かされてない)ので、私的には管球アンプを作るという意味から外れてしまいます。その点では終段カソードフォロアアンプとかSTCに類似のCAS-COMPなども同じですね。敢えて歪混じりの出力をアンプの音色と言うなら、これらは皆ドライバ(Tr、OPアンプなど)の増幅直線性を頼みにして、その音色??を聴くことになる訳で、出力段に上等(高価)な1軍球を使う意味がありません(無駄な投資です)。
超3結、他に異なる構成の方式(バージョン)があるらしいですが、これ以上の追究は止めておきます。






















